西事務所所長 山田康博です。
好きな言葉は“担雪埋井”(たんせつまいせい)。“今できることを、気持ちをこめて一生懸命やるしかない“と解釈しています。
経営は、会計やシステマチックな分析に基づく戦略と、感情や情緒といった数字で測れないものとが入り混じる奥の深い世界だと思っております。仕事から学び、いずれ地域の力となれるよう業務に励んでまいります。
年度替わりを控えたこの時期は、毎年、関与先企業様を中心に、今後の方針やそれに伴う計画数値の試算等、経営に関する相談を多くいただきます。未来の数値を経営者と共有しまた試算する仕事は、未来を描く決断の支援でもありますので、やりがいを感じます。仮に厳しい局面のものであっても、希望を見出す仕事であることには違いありませんので同様です。経営者の皆様の覚悟や先見性に、感銘を受ける時間でもあります。
ところで、こうしたこともあり、いつも冬から春にかけてのこの時期は、時間が過ぎるのが本当に早く感じられます。かつて、暦(こよみ)の研究をしている方のお話を伺ったことがあります。地球が太陽の周りをまわる円を春分と秋分の点を結ぶ直線で半分に割った場合、なんと冬の半周の方が夏の半周よりも、そこを通過する所用日数が短いとのことでした。イメージをすると、冬の時期、地球はスピードを上げ、“ビュン!”と動くということです。これを知ると、この時期に今後の計画をしっかり検討することが、とても価値あることのように思います。時間は有限、そして共通の資産といわれます。投資や活動の効果を最大化するためにも、一年間の計画やアクションプランづくりに取り組んでみると良いのかもしれません。その数値化のご支援、いたします!
日本銀行の「経済・物価情勢の展望」によれば、消費者物価指数は2024年度の2%台半ばからやや緩むものの、2025年度も2%余りの増加率で推移しそうとのことです。長岡市近郊では抑えられていた感もある家賃相場ですが、最新の情報によれば、これもいよいよ上昇傾向となるようです。必然的に、人件費の増加圧力も増すことになりますので、企業経営という側面から考えると、まさに大変革の1年となりそうです。
こうした厳しい経営環境の中、次の3つの取組みが求められるのではないでしょうか。一つ目は、計数管理能力の向上です。コストの増加を吸収するためには製品・サービスの値上げを検討せざるを得ません。但しそこに根拠がなければ交渉もできませんので、より細かな単位で計数を把握し試算する必要があります。2つ目は、作戦を社内に浸透させ全員で取り組むための仕組みです。完璧な作戦というよりも、全員が同じ方向を向いて一丸となって取り組むことが重要でしょう。3つ目は、長期的な視点にたった自社の製品・サービスの開発です。日ごろの活動の中にある、自社の強みを認識して、それを活かした他社にない価値を、今のうちから開発していく必要があると思います。これらは私見となりますが、一年の節目に、皆さんも是非ご一考いただけると幸いです。
TKC新潟支部の有志で「新潟超越塾」という勉強会が企画され、毎月1回程度これに参加しています。内容は、我々のバイブルともいえる「TKC基本講座」という書籍に基づいて、TKC会計人としての理念や行動基準、そして専門的な監査手法や関与先支援の進め方、システムの開発思想を学ぶというものです。この勉強会が、初心に戻ることができる貴重な機会となっています。私はこの「TKC基本講座」という書籍を、会計人として仕事を始めたころ、そして税理士資格を取った後の2度に渡って読む機会がありました。書かれていることの一例として、取引の種類ごとに、これを現場で監査をする意義やその方法(書類監査だけでなく、質問、時系列監査、現物実査といった複数の方法)が解説されています。その目的は、会計基準や税法に照らして正しいかどうかを判断することに留まらず「経営」という領域にまで触れられています。その奥深さを知ると共に、会計監査が経営に作用するという可能性に強い興味を抱いたことを覚えています。
企業は、懸命な努力を重ねて日々の事業を行っています。一つ一つの取引は、その経済的な事象として行われているものになります。事業活動の現場での苦しみを感じながら会計監査をすることの大切さを忘れずに、企業の永続的発展を支えていきたいと思います。
新紙幣が発行され、1万円札の「顔」が渋沢栄一氏となりました。同氏が提唱した「合本主義」は、企業の独占的な利益追求を志向する「独占資本主義」とは異なり、公益を追求する人材と資本を幅広い層から集め、事業を推進していく考え方です。銀行は、この“再循環機能”を効率よく発揮するために全国で組織され、実際に多くの産業が、銀行からは資金を、そして広く民間からは人材を調達して興りました。その時代から1世紀と少し、物価高騰と少子高齢化で多くの社会課題が生まれてきている今、再び「合本主義」の思想を思い出す必要があるのかもしれません。
企業の立場から考えた場合の「合本主義」は、自社がその事業を通じて、いかに社会課題を克服し、貢献ができるか、ということだと思います。そのために磨き上げなければならない技術、ノウハウは何か。オリンピック・パラリンピックが開催されたフランスは、まさに渋沢栄一が合本主義を学んだ地でもあります。アスリートが躍動する姿と重ね合わせて、事業を通じて実現したい未来を創造してみてはいかがでしょうか。
新紙幣が発行され、1万円札の「顔」が渋沢栄一氏となりました。同氏が提唱した「合本主義」は、企業の独占的な利益追求を志向する「独占資本主義」とは異なり、公益を追求する人材と資本を幅広い層から集め、事業を推進していく考え方です。銀行は、この“再循環機能”を効率よく発揮するために全国で組織され、実際に多くの産業が、銀行からは資金を、そして広く民間からは人材を調達して興りました。その時代から1世紀と少し、物価高騰と少子高齢化で多くの社会課題が生まれてきている今、再び「合本主義」の思想を思い出す必要があるのかもしれません。
企業の立場から考えた場合の「合本主義」は、自社がその事業を通じて、いかに社会課題を克服し、貢献ができるか、ということだと思います。そのために磨き上げなければならない技術、ノウハウは何か。オリンピック・パラリンピックが開催されたフランスは、まさに渋沢栄一が合本主義を学んだ地でもあります。アスリートが躍動する姿と重ね合わせて、事業を通じて実現したい未来を創造してみてはいかがでしょうか。
「正論は純度が高いほど、威力を発揮する」。今朝、テレビから流れてきたセリフが、耳にとまりました。そこで、私なりの企業経営に対しての正論を考えてみました。中小企業は、これまで以上に自らの“付加価値”を認識し提供していかなければなりません。その付加価値は、お客様にとって必要とされるものであり、企業であれば顧客の発展に、個人であれば快適さや潤いに貢献しなければなりません。それをなすためには何が必要か。様々な要素がありますが、一番は「企業は人なり」。働いている社員の皆が同じ方向を向いて、それぞれの個性で活躍する、会社の仕組み、そして風土をつくらなければなりません。それは人しだいではなく、会社しだいです。といったところが、私が考える企業経営の正論でしょうか。ありがたいことに、関与先様をモデルに、これまでの仕事の中で育まれてきた価値観のように思います。
さて、皆様も、課題に感じておられることを、「純度の高い正論」にして言葉にしてみてはいかがでしょうか。こうした思考をすると、本来するべきことが見えてくるような気がします。それに対して、時間がかかったとしても、そこに取り組んでいくしかないのだと思います。
ある関与先の工場内を、棚卸資産の現況確認を目的に拝見する機会をいただきました。工程ごとに生産管理をしているキーマンを訪ね、日頃の管理方法や、言葉の定義等を確認させていただきました。そこで感じたことは、各現場それぞれに、誇りや気概をもって生産活動が管理されているということでした。
例えば、同じ材料を使った製品でも、付属品の有り無しによって、工程完了の基準が異なります。生産数量データをみると、均一な作業をイメージしがちですが、実際は次々と起こり得る事象に対応し、また、多種多様化する製品ごとにアジャストしながら、次の工程がよりスムーズに流れるよう、迅速な判断が繰り返されていることがわかります。こうした部門単位の“ベストプレー”がつながって、チームとして良い製品がつくられていることに感動を覚えました。
DXと言われて久しいですが、データはこうした営みが一定の定義のもと数値化されたものです。データからだけ判断するのではなく、そのデータがどのように生成されているのか想像しながら、活用することが重要だと感じました。
株価の上昇が報道されています。この原稿の執筆時点では、前日にバブル後最高値を更新、今日現在は、前日比300円安で推移しているようですが、いずれにしても高値であることに違いありません。その原因として言われているのは、賃上げによる内需活性化への期待感、物価上昇による相対的な貨幣価値の減少が投資を誘導している、はたまた新NISAの導入に伴う投資意欲の拡大等が影響しているとのことです。加えて令和6年度税制改正においては、更なる賃上げ促進税制の拡充が施された他、「目に見える形で可処分所得を伸ばす」という趣旨の定額減税が、6月分の源泉税等から順次適用されるという異例の措置も予定されています。こうした状況に触れ、とても身が引き締まる思いです。物価高を前提とした賃上げは、人材を安定的に確保していくためにも、さけては通れないテーマとなりつつあります。これを厳しい経営環境の中でどう実現していくか、簡単なことではありません。選択と集中、DX、イノベーション、プロセス見直しと生産性の向上、組織化等々。経営に真剣に取り組んでいかなければなりません。「未来会計」を駆使して、これからの経営を共に考えていきたいと思います。
2024年のキーワードの一つに「ダイバーシティ経営」があると思います。ダイバーシティという言葉自体は、聞く機会が増えて久しいと思います。これまでは、性別や国籍に捉われない平等な取り扱いを、というニュアンスが強かったと思いますが、より積極的に、多様な人材を企業経営にとり入れて強みにしていかなければならない、というのが今後求められるダイバーシティ経営だと認識しています。そのために必要となるのは、多様な働き方を受け入れることができる企業としての懐の深さ、課題やイノベーションに対して、チームで柔軟な議論ができる企業風土、そしてこうした姿勢を明確にして組織に浸透させるリーダーシップだと言われています。都度生じる課題に対して、異なった価値観で議論や役割分担をすることで、新しい発想が創出されイノベーションも生まれやすくなるようです。多様な人材を受け入れるということは、直接的に人材不足を解消するための手段でもあります。各種統計調査によれば、ダイバーシティへの取り組みを打ち出し、体制整備をしている企業ほど、求職の頻度や定着率が高いとの結果もでているようです。私たちも、一人一人が輝き活躍できる会社づくりを支援していきたいと思っております。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
「船が帰ってくれば支払いができる」。14世紀のヴェネツィア商人は、こんな先行きの見えない商売を安定化させたい一心で、現在の会計の原点といる複式簿記の仕組みを生み出しました。バンコ=現在の銀行が起こったのもこのころで、商人は複式簿記を駆使して、想定される利益額で借入金を返済していける見込みがあることを数値化。資金を調達して戦略的に船を購入し、また現地での仕入れ資金を確保しました。貸借対照表と損益計算書等の帳票もこの時に原型ができたと言われています。
インボイス制度や電子取引データ保存等、税務に関する制度対応が忙しい昨今において、帳簿の信頼性、そして税法等への適法性の確保は重要な課題となっています。これは言い換えれば「帳簿には証明能力・証拠力がある」という帳簿が有する機能の一つを強化しなければならないというテーマです。一方で、帳簿にはもう一つの重要な機能があります。「自己報告機能」です。つまり、経営管理に役立てるための機能とういことで、それは過去の分析だけでなく、将来に向けた意思決定に役立てるべきものとして、現代に至るまで世界各国で利用され、発達してきました。制度対応は、経営判断に役立つ「信頼できる帳簿」を手に入れ、より戦略的に会計データの活用を検討するチャンスでもあります。
このインボイスの電子化が表すように、世界の税務は、行政における「データ」の収集と活用が大きく進み、規模の大小を問わずに、企業及び個人納税者の税金が未納となるような「タックス・ギャップ」は、今後劇的に小さくなっていくと言われています。消費税におけるインボイスの採用や確定申告におけるマイナポータルの活用等は、こうした動きの一端に他ならないでしょう。
では私たちはどうするべきか。我々自身もITとAIを駆使して、会計情報を経営に生かすべきです。行政におけるデータの活用が進んでも、未来の税金へのアプローチは変わりません。今後の投資とタックスプランとを 一緒に考えていきましょう。
はたまた、仏像修理師を志した女性3人組は、移住先の伝統産業である木工の設備に着目。工場に“間借り”して、挑戦を続けているとか。経年劣化による塗装の剥がれはそのままに、毀損部分だけを技術を使って直していくスタイルも、奥行きの深いものを感じました。ニッチな市場に着目した、これも納得の事業展開です。地域の資源というのは、外側から見たときに新たな可能性が見つかりやすいのかもしれません。きらきらと輝く移住者たちだけでなく、彼らを受け入れ、支援をする地域住民の笑顔もとても印象的です。ビジネスのヒントが見つかるかもしれません。皆さんも是非ご覧になってください。