税理士の今月のつぶやき (南事務所所長 市村)


南事務所所長 市村二三代です。

お客様からいただく様々なお問い合わせに一番の喜びを感じています。

できるだけ沢山の方とお会いして(またはネット上で)、難しい税金や経営の話をわかり易くお話ししたいと思っています。


2024年10月のつぶやき

夏休みを利用して、海外旅行へ行ってきました。行き先は、以前いちむら英会話スクールで講師をしていたイギリス人のデービットさんが住む英国ブラックプールという海辺の街です。ブラックプールという街は、1996年にヒットした日本映画「Shall we ダンス?」(周防正行監督作)の舞台となった街です。社交ダンスの世界大会が開かれるボールルームにもデービットさんから案内していただきましたが、まるで別世界に彷徨い込んでしまったような光景が広がっていました。社交ダンスのセミプロの皆さんがホール内で踊り、その周りの観客はアフタヌーンティーを楽しみながら踊る方々を鑑賞しています。まさに、映画そのままの非日常の世界です。ダンスを踊るセミプロの方々の中には、映画での竹中直人さんの様な(コミカルな)自己陶酔型の方もいらっしゃって、「趣味の世界へののめり込み方は洋の東西を問わないのだな」と妙に納得しました。

コロナ禍が明け、英会話を習う生徒さん達が次々と海外を訪れています。大人の生徒さんは観光を主目的としてアジアやヨーロッパの国々へ、中学・高校生の生徒さんは学校を通じた短期留学プログラムを利用してアメリカやヨーロッパの国々へ。戻ってきた生徒さんから楽しい体験談をお聞きし、更に次回の旅行への夢を膨らませています。旅をして見たことのない風景の中に身を置くことは、自身の人生の大切な思い出の一ページになることを実感した夏休みでした。


2024年8月のつぶやき

毎年行っている北里学院(浦佐)での経済学も7月17日の最終講義をもって、今年も無事終了しました。社会に出る直前の4年生を対象に、4月から7月の毎週1回90分の講義です。学生の皆さんは国家資格取得と就職活動で忙しい毎日ですが、専門外である経済学の講義にも真面目に出席し、様々な質問を投げかけてくれます。講義内容はマクロ経済・ミクロ経済の基礎から始まり、金融、会計、税金、社会保障、自身の将来設計と進みます。世界経済という大きな単位から自分自身の将来設計という最小単位までを考えることで、「社会に出て、一人生活や結婚、出産、老後と心配でしたが、講義で様々な事を学んで不安感が無くなりました」などの感想をいただきます。社会の構造が大きく変わる中でも、変化を自身の生活に積極的に取り入れることで不安感が減少することを実感します。 

ハーバード大学の「リーダーシップ&ハッピネス」講義では、「幸福は感情ではなく、楽しみ、満足、目的意識の3要素の組み合わせ」と分析しています。それぞれの要素を検証し、コントロール可能な部分を工夫・改善することで、自分や周囲の幸福度を高められると論じられています。これから社会に旅立つ若者が、老後の心配ではなく、今を楽しめる20代を過ごせる世の中でありたいですね。


2024年6月のつぶやき

 先月は3月決算法人の申告が多数重なり、決算報告会で多くの社長、理事長、代表とお話しする機会がありました。業種それぞれの今の課題を振り返りつつ、業界の先行きや組織の事、増加する経費の事など経営者のお考えをお聞きすることが出来ました。決算報告会では終了した決算の内容とともに新年度の予算やこれからの中期的展望について財務数値を入れ込んだ5か年計画をもとにお聞きします。日頃は日々の業務と資金繰りに追われる企業にとっても、落ち着いて新たな戦略を練る機会になります。日々の業務に追われて場当たり的な対応を繰り返して行くと、本来向かうべき目的から逸れて、どこに向かってゆくのかわからない状態に陥る恐れがあります。『ワイズカンパニー』(野中郁次郎・竹内弘高著)では、「変化の著しい時代に対処するためには、知識を高次の暗黙知である知恵に昇華させる必要がある」と言っています。知識を知恵にするには実践から得られる判断の積み重ねが大切です。

㈱TKCの月刊誌、「戦略経営者」は14万部発行されており、中小企業に特化した経営雑誌です。様々な企業の戦略と経営の実践が多数掲載されています。絶え間なく実践されるイノベーション事例はまさに知恵の宝庫です。是非この毎月届く「戦略経営者」をお手に取って読んでみて下さい。地域で活躍する企業の知恵が惜しみなく披露されており、明日からの経営に力が沸いてくることでしょう。


2024年4月のつぶやき

 今年も個人所得税確定申告が完了しました。私たち会計事務所業務は通常期は法人事業・個人事業などビジネスに関する相談が主業務ですが、この時期は経営者個人の所得や財産に関する相談が多く寄せられます。事業承継のための株式の贈与に係る贈与税申告、個人財産の一部を売却したことによる譲渡所得税申告など私生活に関する相談や老後資金に関する相談なども多く寄せられます。

 そのような中、今年一番質問が多かったのは、NISA口座開設に関する質問です。ご存じの通り、今年1月から新しく制度設計されたNISA制度が始まりました。株価高騰と相まって、個人財産の一部を投資することへの関心が一段と高まっていることを感じます。もちろん、今までも「株式投資」や「投資信託の購入」などは一般に行われていたわけですが、税制改正にて1800万円もの大きな投資非課税制度が開始されたことで一気に関心が寄せられました。金融機関の連日のコマーシャルも過熱しています。何故、このような制度が措置されたかは、「個人資産を自身で設計する こと」「お金は貯めておくだけでなく、流通させることで経済効果を発揮させること」を国民が理解することを狙いとしています。NISA口座は11つ。18歳成人になると、まずはどの金融機関でNISA口座を開設するか、そしてNISA口座を使いやすい預金口座をどこに開設するか。今後は金融機関の選定でNISAが大きな影響を与えるでしょう。

                 

2024年2月のつぶやき

 先日、事務所の研修会で「外国人技能実習生制度」について学ぶ機会がありました。技能の習得状況に応じて日本での滞在期間が決定されること、受け入れ可能な職種、そして来日前後での教育の状況など詳細を説明いただきました。増加する外国からの人材に対する支援者としての側面から、大変勉強になりました。当所関与先でも、外国人技能実習生に限らず既に多くの外国人を受け入れており、さまざまな職場で外国人が活躍されている事を感じています。特にコロナ禍後に初めて外国人を受け入れた企業では、労務としての貢献以外に、企業内活性にも大きな効果が出ているようです。日本人社会の中で、異文化体験を持つ外国人は企業に新しい価値観をもたらしているようです。10年後には日本の就労者の10%以上が外国人になるとのことです。実は私自身も20年前のイギリスで「外国人」として就労をしていました。当時のイギリスでは出身国によって就ける職業も制限されており、EU内の人材、アジアの人材、アフリカの人材、インドの人材と明確に区分されていると感じました。数年前に当時の外国の友人と会う機会があり、既に子供も成人し二世達が就労していました。

イギリスで生まれ、イギリスの教育を受けた彼ら彼女ら二世は、イギリス人として社会の中枢を担う仕事に就いています。グローバル化する人材とその二世達、20年後の日本の姿が見えてくるように思います。   


2023年12月のつぶやき

先月、東京で開催されましたアジア・オセアニア タックスコンサルタント協会(AOTCA)東京会議に参加し、税金に関する国際的課題について学ぶ機会を持ちました。言わずもがなですが、税金は国家の財政を担う根幹となるものであり、今日のように国をまたいだ経済取引が増加しますと、各国間での合意がなければ、熾烈な税の奪い合いが起こってしまいます。特にインターネットを通じた役務提供(サービス)活動は、経済取引が生じた国に拠点を置かずとも行えてしまいますので、課税することが難しい現状があります。ネット社会に身を置く私たちの支出の多くは、無意識のうちに国外企業へ流れ、日本の税金が課税されないまま利益が海外へ移転していく現状があります。2024年から世界中で始まりますデジタル課税への取り組みに各国が注目している事をAOTCA東京会議で感じることが出来ました。

余談ですが、会議の合間の懇談がとても楽しかったです。韓国の方からは「デジタルインボイス導入から10年が経過し、税計算がすっかり楽になった」「2年前に日本のふるさと納税に倣って韓国でも導入された」という話を、またモンゴルの方からは「日本は男性の税務専門家が多くて驚いた。モンゴルは昔から男性は馬に乗って狩りに行き、お金の計算は女性の仕事」という話を聞き、各国のお国柄を知ることが出来ました。税金にはお国柄も出るのでとても興味深いです。


2023年10月のつぶやき

 今年の夏は体温を超えるような気温が続き、まさに『酷暑』でした。ハワイでの火災報道などを観ると、「待ったなしの地球温暖化の進行」という人為的自然環境破壊が心の中の不安を増大させます。そのような中、「資本主義の次に来る世界~少ない方が豊かである」(ジェイソン・ヒッケル著)を読み、「資本主義 を前提とした成長志向は生物界を破壊する。支配と搾取から、生物界との共存社会への移行が必要であ る」という著者の主張に大きく賛同しました。一番印象に残った、この本の最後に書かれている言葉を 紹介します:「わたしたちはここで何をしているのか?どこへ行こうとしているのか?それは何のためなのか?人間が存在する目的は何なのか?成長主義は、わたしたちが立ち止まってこれらの疑問につい て考えること自体を阻むのだ。わたしたちは我を忘れ、あくせく働き、深く考えようとせず、自分が何をしているか、周囲で何が起きているのかに気づかず、自分が何を、そして誰を犠牲にしているのかに気づかない」 

 10 月からインボイス制度が導入されました。制度導入の目的は何か。どのような未来を私たちは作ろうとしているのか。本来の姿を見失わないようにしなければならないと強く感じます。


2023年8月のつぶやき

 ここ数か月の間に、仕事上の関係者や友人、海外からの留学生と話していて、ChatGPTGoogle翻訳について話題に上がることが増えてきました。コロナ禍が一段落し、経済活動が活気を呈してきたことで新たな動きが出てきたからでしょうか。ChatGPTについては、使用する方の専門に応じてその使い方が多様なことに驚きます。ビジネス定型文書作成、プログラムのコーディング検証、論文の校正、マスコミへのプレスリリース文書作成など。友人のひとりは、仕事上の悩み相談をChatGPTにしていると言っていました(!?) それぞれの専門に応じて、ガイドラインに基づいた使用を皆さん心がけていらっしゃるようです。

また、海外顧客との情報伝達にGoogle翻訳などを活用されている方も増えています。お互いに英語ネイティブでない方同士の場合、翻訳ソフトを用いての会話であることを了解した上でのやり取りが多いようです。これらのソフト活用のポイントは、「伝えたい内容が決まっている事」「形式を整え、思考を整理する補助としてソフトを利用すること」になります。まずは、簡単な内容から使ってみることで、新しい世界が広がるかもしれません。