今回は、不動産管理会社で行ったDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについてご紹介いたします。
不動産管理会社の会計業務は、オーナーの代わりに家賃の回収や修繕費などの支払いを行い、その都度立替金や未払金を計上して最終的にその差額をオーナーへ支払う仕訳を計上していきます。そのため、物件1棟ごとに毎月10~40枚の仕訳を計上する必要があり、さらに滞納や前納といった特別な状況にも対応する必要があるため、複雑な経理が要求されます。
こうした煩雑な会計業務を効率化するため、手作業で行っていた精算業務の電子化を実践しました。これにより、精算書の発行と仕訳データの作成を同時に行えるようになりました。また、従来は収入と支出をすべて一つの科目で処理していた部分を見直し、入金と支出を人ごとに分けて、個別で管理できるようにしました。これにより、オーナーごとの収支状況がより明確に把握できるようになりました。
この取り組みの結果、会計業務は劇的に効率化されました。以前は大量の仕訳処理に追われていた会計担当者も、今では毎月15日にはすべての記帳業務を完了できるようになり、時間的な余裕を持てるようになっています。また、データを戦略的に活用して経営に活かす、という視点からも効果が得られました。詳しくは、次号のお便りでご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに!
税理士資格を取る方法について皆さんはご存じでしょうか?いくつか方法はありますが、今回は、いくつかある方法の中で、国家試験を受けて資格を得る「官報合格」について紹介します。
税理士試験の官報合格とは、毎年8月に行われる試験を受験し、最終的に5科目合格することで、官報に掲載されることを言います。この5科目は1年ですべて合格する必要はなく、年をまたいで合格科目数を積み重ねていくことができます。そのため「1年に1科目」という戦略をとることもできますし、「途中で子育てに専念し少し余裕が持てるようになってから再受験する」などといったことも可能です。
試験は「計算」と「理論」が半分ずつとなっています。特にこの理論はかなり大変です。法律には条文があり(法人税法では約90題200ページほど、消費税法では約50題140ページほど)その内容を理解して試験に臨みます。試験内容としては問われたことに対して、条文から適宜引用しながら、これらを論理的に組み立てて回答します。これらを時間内に記述するためには、理解だけではなく、条文を事前に暗記して、素早く理論を構成して記述することが求められます。
理論暗記は一朝一夕にはいかず、コツコツと日々進めていくものになります。ちなみに私はエビングハウスの忘却曲線を参考に、長期記憶へ定着させるため、ボイスレコーダーに録音して移動中に聞きながら暗唱、お風呂に入りながら音読、毎日の昼食時にはハンドブックを片手に復習などをしていました。ある程度知識の定着をしてきたら、講師になったつもりで架空の生徒に教えるということをしていました。これは覚えたことを理解でき、かつ、要約して説明ができる力をつけるものです。
当日の試験は1科目2時間。1年間の勉強努力がこの2時間に集約されます。手応えがあったのに不合格だったり、手応えがないのに合格だったということもあります。ただ、勉強をしてきたという事実はそこにあり、科目合格ができなくても自身のレベルアップにはつながっています。いずれ、私の名刺に「税理士」の文字が載せられるよう精進していきます。
ながおか会計では2021年の4月から「チーム」を結成し、リーダー及びメンバーでチーム活動を行っています。チーム活動は各スタッフが担当している関与先の状況や、業務全般における振り返り、今後の目標についてなどを話し合うとともに、今抱えている悩みや対応方法などの検討も行っています。
このチーム活動は月に1回の会議がメインでした。ただそれだと各々が抱えている悩みなどを深堀して確認することができなかったため、1on1ミーティングを導入しました。このミーティングは、①年に2回自身の評価を行う際に使用している「サポートシート」の振り返り、②現状のタスクの管理及び進捗状況の確認、③自身が掲げた目標に対する進捗、④好きに会話を行う「フリー」の4つについて、そのときメンバーが話したい内容を選択して対話を行っています。
『2024年問題』とは、働き方改革関連法により、自動車運転業務の時間外労働時間を年間960時間までとする規制が設けられることによって、物流業界に生じるさまざまな問題を指します。
トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均に比べて2割程度長く、労災請求件数や支給決定件数も最も多い業種です。そのため、労働環境を改善する必要がありました。そこで、トラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されました。燃料費の高騰により既に運賃が増加しているにもかかわらず、この働き方改革関連法の施行によって、運送会社は売上や利益の維持のため、さらなる運賃単価の値上げが不可避の状況です。そして、運賃の値上げは商品価格の転嫁につながり、一般消費者の家計への影響を避けられそうにありません。このような物価高騰の中で、中小企業も従業員の生活を守り、従業員の定着率を向上させるため、賃上げが緊急の課題となっています。また、中小企業では、急速な高齢化と若者の離職が進んでいるため、「人手不足倒産」が深刻な問題として挙げられています。継続的な賃上げに加え、生産性向上や労働時間の短縮などの環境整備と課題が山積みですが、これを競合他社との差別化を図るチャンスと捉えましょう。
自社の作業工程や魅力について、少しだけ立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。業務の可視化を図ることや従業員のエンゲージメント、モチベーション向上で企業競争力を高めることができます。また、ITツールを導入することで、人材の代替や生産性向上を実現する企業もあります。ながおか会計は、中小企業が時代の変化に適応する支援をします。
日本全国の所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変りました。「所有者不明土地」とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、及び、所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地を言いますが、なんと、この「所有者不明土地」の面積は、新潟県3つ分の大きさに匹敵します。この事から、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、 公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や 土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず 放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど、 様々な問題が生じています。
「所有者不明土地」の発生原因の殆どは、相続登記の未了によるものです。相続税が発生するケースにおいては、申告作業の前後において相続登記まで確認することが出来ますが、相続財産が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)に満たないケースでは、申告作業が生じず、相続登記までもが未了となってしまうことが往々にあります。
2024年4月1日からの義務化によって、施行日(2024年4月1日)以前に発生していた相続にも遡及して適用され、登記申請が正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料に科せられる事がありますので、これを機に所有不動産の登記名義人を確認してみてはいかがでしょうか。
また、相続税の発生に関係なく、遺産トラブルは誰にでも起こり得ることで、遺産分割をめぐる争いは近年増加傾向にあります。親族間の争いを避けるための対策を検討してみませんか。相続(争族)対策ご希望の方はお気軽にご相談ください。
定額減税の減税方法
前月号に引続き定額減税をご案内します。今回は減税方法をご紹介します。
給与所得者の場合
所得税
給与支払者が給与等を支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除することで減税されます。令和6年6月1日以降の最初の給与等の源泉徴収税額から順次控除し、控除しきれない場合は年末調整で控除します。
それでも控除しきれない場合は給付措置が行われる見込みです。
給与所得者給与所得者の場合の場合
個人住民税(特別徴収)
令和6年6月分の住民税は徴収されません。
令和6年度分の住民税の所得割額から減税額を差し引いた額を11等分し、令和6年7月分~令和7年5月分が毎月特別徴収されます※。
※減税対象外の人(令和5年分合計所得金額が1,805万円超の場合や均等割・森林環境税のみ課税される場合)は従来どおり令和6年6月分から特別徴収します。
先月号のトップ記事で紹介した「定額減税」。今回は、対象者等について、もう少し詳しく紹介します。
▶対象者
① 居住者※1②合計所得金額※2が1,805万円以下※
※1国内に住所を有する個人または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人
※2所得税は令和6年分、個人住民税は令和5年分の合計所得金額をもとに定額減税対象を判定
※3給与収入のみの場合、年収2,000万円以下、こども・特別障害者等を有する等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下
▶減税方法 (給与所得者の場合)
所得税 給与支払者が給与等を支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除することで減税されます。
給与支払者は2つの事務を行うことになります。
① 令和6年6月1日以降に支払う給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除する事務
② 年末調整の際に、清算を行う事務
個人住民税
令和6年6月の住民税は特別徴収されません。令和6年7月~令和7年5月まで、減税額を差し引いた額で特別徴収されます。
「経理業務を分担したいけど、会計データを見られるのは困る」と思っていませんか?
TKC会計システムでは、担当者別のユーザー権限を設定すれば、それぞれの担当者が
使用できる業務範囲を制限することができます。FX2クラウドでは、同時に作業できる
ユーザーは二人までですが、ユーザーは何人でも登録ができます。
例:販売機能のみを使用できる担当者を設定
今までは経理担当者のA氏がすべての経理業務を行っていました。
A氏が不在の時に請求書の発行が必要になったため、B氏も請求書の発行ができるように設定しました。
例:営業所部門ごとに入力者を設定
FX4クラウドを使用すれば、さらに細かくユーザー権限を設定できます。
例えば、部門管理で長岡営業所部門と新潟営業所部門があった場合、それぞれの営業所の経理担当者にその営業部門のみを閲覧して入力作業をしてもらうことができます。
経理業務を分担することで、部門担当者も数字を意識することでき、目標達成のための組織づくりにも役立てられるという効果も期待できます。
設定については担当者にご相談ください。
去年開催した経営者セミナー第5回のテーマ「新NISA」が1月より始まりました!
セミナー後の感想でも興味を持たれていた方が多かったので、新NISAについてお伝えします。
新NISAは非課税保有期間が無期限化になり、さらに長期的に非課税で資産運用ができるようになりました。また、つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能になり、これまで以上に、状況に合わせた柔軟な資産運用を実現できます。 参照元:金融庁「新しいNISA」
20代~30代の新NISA活用ポイント
結婚・子育て・マイホーム購入などに向けた資金づくりに積み立てていきましょう。
新NISAでは途中で一部解約しても、投資枠が回復するという制度になりました。住宅購入の頭金や子どもの学費などで一時的に大きな金額が必要になっても、非課税枠をしっかり活用できます。
40代~50代の新NISA活用ポイント
教育費や住宅ローンなどよる出費が増えますが、老後資金の準備のためにも無理のない範囲で積立をし、教育費などが落ち着いたところで積立額を増額、または成長投資枠での購入などを計画しましょう。
60代の新NISA活用ポイント
退職する方が増え、収入が減少する年齢です。手元にある資産を大切に守りつつ、資産の寿命を延ばすために運用をしながら取り崩すプランを検討してみましょう。
経営者セミナーにご参加できなかった方で、資料が欲しい方は担当者までお声がけください!
多角経営を行っているA社の経理の合理化(証憑保存)についての事例を先月号で紹介いたしました。今月号では、令和6年1月より、完全に義務化されました「電子取引データの保存」について紹介させていただきます。
《現状》
経理、総務のそれぞれの担当者が、メール等で受け取った請求書等のデータをPDFにして、経理へ再度メールで送付しています。経理では、担当者からいつメールが届くのか、請求書等の漏れがないのか等の不安があると同時に、会計処理に時間がかかっている状況です。
《取り組み後》
電子取引データを証憑保存機能(TDS)を利用し、総務担当者が直接メール等で受け取った請求書等を読み込み、保存することにしました。当初、証憑保存機能(TDS)は、FXクラウドシステムを利用していないと利用できなかったため、FXクラウドを利用している人から導入することにしました。その後、デジタルインボイス対応システムとして、インボイス・マネジャーが提供となり、これを利用することにより、全ての総務担当者において、請求書等の保存が可能となり、経理業務の効率化が図れることとなります。各担当者が直接保存することで、タイムリーな情報の把握に加え、部門別等の戦略情報も付加することができます。
多角経営を行っているA社は、毎月、各拠点から本社へ領収書等を送付しているため、書類の発送に手間と費用がかかっていました。一方、本社では、各拠点から書類が到着しないと会計処理ができないため、書類等の確認が遅くなっていました。そこで、令和6年1月からの電子取引データの保存義務化を契機に、各拠点に証憑保存のためのソフトウェア(TDS)を導入し、証憑書保存並びに清算の流れを再構築することとなりました。
各拠点の状況に応じて、事務機能を
有しているところにはスキャナーを、それ以外のところからはスマートホン
で、それぞれ領収書等をスキャン。
システムのAI機能を使って、画像か
ら仕訳計上してもらうことで、書類の
紛失や書類を探す手間がなくなり、経
理作業が軽減されました。本社でも
リアルタイムで仕訳及び領収書等の確認ができるようになり、確認作業時間
が大幅に短縮されました。システムがスキャナ保存制度の要件を
満たしているため、原本の(紙)の保管
も不要となり、保存スペースに余裕がで
きたことも、嬉しい改善となりました。
(つづく)
電子取引の取引情報に掛かる電磁的記録の保存に関しての宥恕措置は、12月末で終了します。令和6年1月からは、メールやWebサイト上で受け取った請求書や領収書の電子取引データは、電子データのまま保存が必要です。こちらでも何回かご紹介している、会計システムと連携できる「証憑保存機能」は電子帳簿の保存要件を満たした状態で電子取引データを保存できるので、大変オススメです!すでに導入をされた関与先様、またこれから導入を考えている関与先様へ、10月より「TKC証憑保存ツール」という便利な機能が提供されましたのでご紹介します!
このTKC証憑保存ツールを利用すると、Webサイトに表示された領収書等の電子取引データをブラウザの印刷操作だけで証憑保存機能に保存できるようになります。これまではいちどPDFファイルに変換し、デスクトップやフォルダに保存して、これを証憑保存機能に取り込む作業が必要でしたが、こちらのツールを利用することによりかんたんに保存できるようになります!
上記の作業で読み込んだ証憑から仕訳が計上できるので、仕訳に証憑を貼り付ける作業が無くなります。
システムの活用することで業務の効率化を進めていきましょう!TKC証憑保存ツール等の設定方法などは監査担当者にご確認ください。
小規模企業共済はいわゆる「経営者の退職金」です。事業をやめられたあとの生活の備えを積みたてていく、つまり未来の自分への仕送りとなります。
○積み立てていく金額は自分で選ぶことができます。
月々1,000円~70,000円まで。その範囲内で掛け金を増やしたり減らしたりすることもできます。例えば上限MAXのひと月70,000円を1年間掛けると、年間84万円積み立てることになります。
○節税効果も!
普通に銀行で84万円貯金しても税金への影響はありませんが、小規模企業共済の中に積み立てていけば、その84万円は所得から控除されます。民間の保険にも節税の効果はありますが、どれほど保険をかけても上限は年間12万円。その点、小規模企業共済は上限の金額が84万円と大きいので、節税のメリットも大きくなります。共済金の受取時期は基本的に事業廃業時ですが、65歳に達した場合や解約により受け取ることも可能です。受取金額は掛金額や受取理由により変動します。また、運用による受取額増加もあります。
短期間加入の場合は元本(掛け金)を割ったり、受取金額が無い場合もありますのでりますので注意が必要です。検討をされている方は、掛金の積み立て年数を十分に確保するためにも、少額でも早めの加入をお勧めします!また小規模事業者向けであるため、従業員数が増えて規模が大きくなると加入資格要件の範囲外になってしまうので、従業員数が範囲内のうちにご加入が必要です。
詳細やご不明点につきましては、お気軽にご相談ください!